会期: 2008 5/28(水)〜7/28(月) 展覧会は終了しました。 |
〜アボリジニが生んだ天才画家〜
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オーストラリアの連邦国家としての成立は比較的最近のことですが、先住民族のアボリジニは4−5万年前からその大陸で暮らし、赤い大地をカンヴァスとして、彼らの世界観に基づき、おおらかな芸術的行為を繰り広げてきました。 |
エミリー・ウングワレー (1910頃〜1996) Photograph by Greg Weight |
「私はこの故郷――まさにここで、生まれた。 |
オーストラリアを代表する画家 エミリー・ウングワレー Emily Kame Kngwarreye (1910頃〜1996) オーストラリア中央の砂漠地帯で、アボリジニの伝統的な生活を送りながら、儀礼のためのボディ・ペインティングや砂絵を描いていたが、1977年からバティック(ろうけつ染め)の制作をはじめ、88年からはカンヴァス画を描きはじめる(80歳近くになってカンヴァスに描き始める)。その後亡くなるまでのわずか8年の間に3,000点以上の作品を残した。90年以降はシドニー、メルボルン、ブリスベーンで個展を開催。没後も97年にヴェネツィア・ビエンナーレのオーストラリア代表に選ばれ、98年にはオーストラリア国内を巡回する大回顧展が開催された。 |
“どこまでも続く”一本の線によって描かれた本作品は、エミリーと抽象表現主義とのユニークな関係を示している。縦3メートル、横8メートルにおよぶ桁外れに大きなこの作品は、たった二日間で制作された。 これは二人の助手がカンヴァスの下塗りに要した日数と同じである。エミリーはあぐらをかいてカンヴァスの上に座り、下描きをしたり寸法を測ったり、描き直したりすることなく、一つの場所を仕上げては他の場所に移りながら、カンヴァスの端に向かって描き進めた。 画面には、骨組――エミリーの芸術の重要な部分を構成し、空から俯瞰した大地の静脈、あるいは腱、輪郭とも言うべきもの――があらわになっている。エミリーの全作品のなかでも、本作品は彼女の画家としての才能をもつともよく示すものの一つといえる。 「ドリーミング」 アボリジニの人々の精神生活は、ドリーミングを中心においている。ドリーミングは彼らの美術に重要な主題を与えている。ドリーミングとは、万物の精神的、自然的、倫理的秩序を言い表すのに、アボリジニとアボリジニ以外の人々が等しく用いる、英語の特殊用語である。それは宇宙の創世期から、人々の記憶以前にまでの時代に関係している。「ドリーミング」という言葉は、夢見る状態や非現実を意味するのでなく、日常性を超えて実在するものの状態を言う。ドリーミングは、超自然的な存在と創世主である先祖との様々な活動や叙事詩的行動に焦点をあてている。彼らは、人間の姿をしている場合もそうでない場合もあるが、未だ形のない世界を旅して渡り、そこに全てのものを創り、社会的、宗教的行為の法を定めたのである。 イベント情報 ダンスパフォーマンス「The Rhythm of Emily (ザリズム オブ エミリー)」 ダイナミックで生命力あふれるエミリーの作品をテーマに、即興のパフォーマンスを展開。 6月27日(金)18:00〜18:30 1階アトリウム ※入場料無料。 |
お問合せ:ハローダイヤル 03-5777-8600 展覧会公式サイト:http:www.emily2008.jp/ 主催:国立新美術館、読売新聞社 企画構成:オーストラリア国立博物館 後援:外務省、文化庁、オーストラリア大使館 協賛:ウッドサイド、MIMI,国際石油開発、関西電力、ダイワボウ情報システム 協力:豪日交流基金、オーストラリア外務貿易省、オーストラリア政府観光局、ノーザン・テリトリー政府観光局、NHK |
参考資料:『エミリー・ウングワレー展』図録、『オーストラリアの美術1940―1990内なる風景を求めて』他 |
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